相談役日記

「第一印象」と「百聞は一見に如かず」

塾経営のTips
2024.06.06
石井正和

私は若いころ、教材販売の営業マンをしていました。
名簿に従って、中学生の家庭にアポなしでの飛び込み営業です。

当たり前ですが、ほとんどのご家庭は玄関で断られます。
私も最初のころは話も聞いてもらえず嫌になるほど断られました。
その業界は百人入社して一年後に残る社員が一人いるかどうかですから、今から思えば大変な仕事だったなと思います。

私が教材販売の仕事で飯が食べられるようになったのには、何人かの恩人の影響が大きいのですが、その中にKさんという方がいました。
彼と出会わなかったら、私は売れない営業マンで終わっていたと思います。
その彼はとにかく売れる営業マンで、約20万円の教材を毎日ぽんぽん売る営業マンだったのですが、何が自分と違うのだろうといつも思っていました。

ある日、一緒に同じ地域に行く機会があり、Kさんの後ろで直にトークを聞くことができました。

驚きました・・・

彼が玄関先で話をすると、結構ですと断られる事なく、不思議なほど話を聞いてくれるのです。
私だと当たり前ですけど、ほとんど全部の家庭で「結構です」と断られます。
私も同じように話をしているつもりなのに、何でこうまで相手の対応が違うのか、kさんに聞かずにはいられませんでした。

今から思うと、これが「金言」でした。

Kさんはこう言いました。
「石井さんは、売るために何とか話を聞いてもらいたいと思ってトークをしていますよね。」
「私は『仲良くなる事を目的』に話をしているだけです。」と。
そして、心を許してもらう。その結果、素直に話を聞く姿勢ができる。
だから勉強で心配している家庭は彼を信頼して、結果として教材を買ってくれる。
即ち、相手が教材を買ったのは彼を信頼したからです。

営業マニュアルやノウハウ本を見ても分かるものではなく、現場を見ない限りわからないものですし、肌感で感じなければ絶対に分かりません。
まさに「百聞は一見に如かず」です。
小学生レベルの私とプロレベルのKさんとの違いが何であるかを分からせてくれた事に感謝しています。

そして、「第一印象」がいかに大事かということです。
彼は私に教えてくれたのは、「仲良くなるには、そのご家庭の人に会うのは最初で最後かもしれないけれど、私は世の中で一番大事な人に会うつもりで、明るく元気に誠意をもって接している。そういう気持ちで接してくれる人を嫌いになることはない、好きになってくれると信じて営業している」と言ってくれました。

最後になりますが、相談役日記を書き始めてから15年になりました。
15年前から私石井が大事だなと思うことや、皆さんのお役にたちそうなことを更新しています。
https://www.nohvas-fc.com/founder-blog/?cat=&paged=13   
過去の分も遡って見ていただけると参考になると思います。
よろしくお願いします。