相談役日記

やる気を引き出す授業術

塾経営のTips
2009.11.23
石井正和

さて、塾を経営されているみなさんの多くは、入塾前の体験授業を実施しているかと思います。
特に1対1の個別指導の場合、体験授業で子どものやる気を上手に引き出せるかどうかが非常に重要です。
ここで私が日頃講師たちによく言っているのは、
勉強を教えるのではなく、勉強の仕方を教えてあげて下さいということです。

入塾を考えているお子さんは、「勉強が嫌い」「自分には解けない」という
思い込みにも似た意識を持ってしまっていることが多いんです。
ですから、まずはその意識を変えてあげることが大切です。

例えば、数学の苦手なお子さんに、こんな問題を出したとします。
【平均体重がAkgの6人がいます。このうちの1人がBkgのとき、残りの5人の平均体重をAとBを用いた式で表しなさい。】
「えー、こんなの分からない」
きっとこんな反応が返ってくるでしょう。
それは、記号があるがゆえに問題が難しそうに見えてしまうからなのです。
ここで「いいかい、6人の平均体重がAkgなんだから、6人全員の合計体重は6Aだよね?」といった説明をするのはNGです。子どもさんは、平均やら、AやらBやらで頭がゴチャゴチャになって混乱してしまうでしょう。

まずは、平均の概念をしっかり確かめること。単語の意味を正しく捉えられなければ問題は解けません。
次に、簡単な数字に置き換える。
「じゃあ例えば平均体重が60kgだったら全員の合計体重はいくつ?」
具体的な数字が出てくれば、簡単に解けるはずです。
この様に記号を数字に置き換えた問題できちんと答えが出せたら、今度は逆のことをするだけです。
用いているのが数字か記号かの違いだということが分かれば、お子さんは答えを導き出せるようになります。

こんな風に、基本が分かれば簡単なんだということを、
体験を通して伝えることで、お子さんの中にはやる気と自信が生まれます。
自分にもできる、といった手ごたえを感じてもらうことで初めて、
「この先生にお願いすれば成績が上がるかもしれない」と思ってもらえるのです。