相談役日記
ある奇妙な縁のこと
先日久しぶりに故郷である山口県の宇部に帰省しました。
子供の頃にお世話になった母方の伯父の葬儀に参列するためです。
故郷に向かう機内では、
何故だか、理想通りに進まない自分への歯がゆさを思いました。
あのときこうすれば良かったのか、
あの選択は間違っていたのではないかと。
そんな思いに苛まれていたときにふと、
16年前から妙な縁を感じている、ある人のことを思い出しました。
当時私は母の看病のために
土曜日の夜に下関に向かい月曜日の朝一番の飛行機で東京に戻る生活を約1ヶ月の間続けていました。
その間の東京行きの飛行機で、お坊ちゃん風のおとなしそうな同年齢くらいの人と
たびたび乗り合わせることがあったのです。
声をかけようかなとも思ったのですが、
朝一の便ですしまあいいかと逡巡しているうちに母が亡くなり、
結局声をかけないまま終わりました。
何年かして、その彼と偶然再会する機会がありました。
高校の後輩である映画監督の佐々部清氏の歓迎会に出席した際のことです。
彼もどこかで見た顔だなぁという雰囲気だったのですが、
飛行機で何度か乗り合わせただけの関係ですし、改めて声をかけるのもなと思い、
またしても話をせずに終わりました。
彼は自民党幹事長になっていました。
さらに今から3年半ぐらい前に、
甥の結婚式で下関に行った際の居酒屋で、
またしても偶然の再会をしました。
残念ながら一言も話をしませんでした。
彼はある大役を退き、無役になっていました。
その1年半後彼は見事に復活を果たします。
あきらかに以前よりも自信に溢れ堂々としているように思います。
きっと過去の失敗がよい経験になっているのではないでしょうか。
彼はみなさんお分かりの通り、安倍首相です。
彼ほどの人物でも、
良い時期も悪い時期もあり、
失敗をするからこそ分かることは
たくさんあるのだと思います。
結局一度も話したことはありませんし、
彼の立場や重責とは比べるべくもありません。
それでも何かと人生の節目に再会する不思議な縁を思うと、
次の機会があれば、私も彼と同じように
自分の人生の中興を遂げられるようにしようと
改めて思った、そんな機内の話でした。